おのみち旅行 2日目
2日目
天気:晴れのち雨
〖行ったところ〗
しみず食堂 - シネマ尾道 - USHIO CHOCOLATL - パン屋航路 - 弐拾dB - 猫の細道 - 梟の館 - 水祭りと土曜夜店 - 居酒屋 とっくり
11:40 しみず食堂
渡船で尾道に渡って、まずシネマ尾道でチケットを買いました。上映まで時間があったので、少し歩いた海岸沿いにある「しみず食堂」さんで朝ごはんを食べることにしました。
ガラスケース(って言うんですかね?)に入った豊富なお料理の中からそれぞれに食べたいものを選んで取っていくスタイル。
尾道ラーメンも注文すれば食べることができます。
わたしはお稲荷さんとお刺身を選びました。
お稲荷さんは有名らしいです。酢飯に色々な具が混ざっていて美味しかったです。お刺身はプリプリしていて、一口食べて感動しました。あの味が忘れられないので、また食べに行きたいです。
12:10 シネマ尾道『赤い雪』
シネマ尾道は、映画館、特にミニシアターが大好きなわたしにとって最高の場所でした。
壁には映画のポスターがずらりと並び、奥に行くと、これまでにシネマ尾道を訪れた映画監督や俳優のサインが飾ってありました。多くの人に愛されてきた映画館なのだと思いました。
わたしが観た『赤い雪』は、とある街で起きた少年失踪事件の数十年後、遺族や容疑者を追ったサスペンス映画です。
サスペンスは普段あまり観ないのですが、甲斐さやか監督・永瀬正敏さん・菜葉菜さんの舞台挨拶があったので、悩んだ末「これもご縁だ!」と行くことにしました。(欲に負けました。)
ひとりで、旅先で、血が大量に出てくる映画を観るのはちょっと怖かったのですが、何とか大丈夫でした。
(ここから少しネタバレ有ります。)
『赤い雪』では虐待をひとつの大きなテーマとして扱っていて、考えさせられる部分が多くありました。
容疑者である女性がとてつもなく悪く映る一方、わたしはどうしても失踪した少年とその兄(後の永瀬正敏さん)のお母さんが気になって仕方ありませんでした。
事件は起こるべくして起きたのだと、誰ひとり欠けてもいけなかったのだと、そんな台詞に思わず深く頷きました。
上映後の舞台挨拶は、終始ほのぼのとしていました。
挨拶前に控え室でみんなでケーキを食べた、というお話が可愛かったです。
14:50 USHIO CHOCOLATL
ウシオ チョコラトルと読みます。
向島にあるチョコレート工場で、六角形のパッケージが目印の可愛らしいチョコレートが売られています。
実は旅客前に妹と「お土産は何がいいかな」と相談をしていたときに、ここのチョコレート食べてみたいね、という話になっていたんです。
ですが、いざ調べてみると工場は向島の奥、尾道と反対側にあって、歩いて行くには遠すぎるので諦めていたのです。
ところが、なんと。商店街にもあったのです……!!
見つけたときは吃驚しました。
お店自体は控えめな佇まいなのですが、向島でつくったチョコレートに加えて、広島空港にある姉妹店の限定チョコレートもあり、品揃えは豊富です。
お店のお姉さんがとても優しい方で、ひとつずつ味の説明をしながら試食させてくれました。
(わたしは幸せ者です。)
どれも違った良さがあって悩みましたが、ほうじ茶味とホワイトチョコレート味の2種類にしました。個人的には、ほうじ茶推しです。
15:00 パン屋航路
尾道に所縁のある志賀直哉の『暗夜行路』に因んで名付けられたというパン屋さん。
商店街にあります。
一歩中に入ると、ふわり、とパン特有の香ばしい匂いが漂ってきて幸せ空間でした。
ししとうとベーコンがのったパン、キッシュ、レモンスカッシュを買いました。
「尾道水道を眺めながら食べよう」と思い、パンの入った袋を片手に商店街を抜けました。
丁度いいところにベンチを見つけ、そこに座って早速袋を開けます。
ししとうのパンは、思っていたよりししとうの辛さがしっかりと効いていました。キッシュはぽろぽろ崩れることなく、味も本当に美味しかったです。レモンスカッシュは瀬戸内の海にぴったりの爽やかさでした。
16:00 弐拾dB
ありとあらゆる場所を散歩しながら時間をかけて辿り着いたのが、「弐拾dB」という古本屋さん。
ニジュウデシベル、と読みます。きっかけは忘れてしまったのですが、弐拾dBさんの存在はずっと知っていて、行ってみたいと思っていました。
弐拾dBさんは、深夜営業の古本屋です。
わたし思うんですけど、夜に開いている本屋さんって、ある種の救いじゃないですか?
わたしは夜が好きで、むしろ夜を手放せなくて、たまにどうしようもなく悲しくなってしまうんです。(たぶん病気ですね。)
でもきっと、同じように眠れない人や眠らない人は一定数いて、そういう人たちにとって深夜に明かりの灯る古本屋さんは、時に優しく流れ込むお薬みたいな存在になっているのじゃないかと。勝手にそう思っています。
なので本当は、深夜に行きたいと思っていました。
ただ、宿のある向島と尾道を結ぶ渡船には門限があったので、今回はお昼に行きました。
週末だけは、お昼に営業をしているそうです。(異なる月もあるみたいです。)
入り口にはスイカが置かれていました。
店内はクーラーの風が涼しくて、ラジオから流れる歌は懐かしく、本棚もそこに並ぶ本たちも愛おしく感じました。
救急箱の中身も、水面を漂う小説も、全て愛おしかったです。
弐拾dBさんは古い医院を改装して開いたお店なので、至るところに病院の面影が残っていました。購入した本を包むブックカバーは薬の袋を模していて、そうやって散りばめられた遊び心が本当に好きだと思いました。
購入した本は3冊。『三島由紀夫レター教室』、『ながいながいペンギンの話』、絵本『ぴんくさんとかぼちゃ』です。
16:30 猫の細道
猫の細道は、山の中にあります。足を踏み入れると、一目で「なるほど、猫の細道だ」と頷きたくなるほど猫が沢山いました。
本物の猫も多分いるのですが、わたしは遭遇しませんでした。代わりに、足元から続いていく道の至るところに石でつくられた猫の顔があって、猫にまつわるグッズを揃えたお店もありました。
「1日目に疲れ果てて諦めたから」「今日はまだ時間があるし、せっかくなら行ってみよう」と何気なく行ったので、そのまま気になったところ全てにふらっと入っていきました。楽しかったです。
16:45 梟の館
猫の細道、舗装されているとは言えど山道です。歩ききってしまえば暑さで喉が渇き、足を休めたくなってしまいました。そんなときに現れたのが「梟の館」でした。梟のイラストが描かれた暖簾が目印です。
本当は商店街にある喫茶店に行こうと思っていたのですが、暫く悩んだ末、目の前に佇む不思議な喫茶店に入ることに決めました。
中には本当に大小様々な梟の置物があり、どこか特別な場所に迷い込んだみたいでした。
(トトロのメイちゃんのイメージです。)
窓際の席を選んで腰かけて、それからシロップ漬けのチェーリがのったチョコケーキと、アイスコーヒーを注文しました。
テラスから眺める尾道の緑は、どうしようもなく愛おしくて仕方がなかったです。
お茶をしていると店主の方が話しかけてくださって、そこから尾道での旅のことや人生についての話を沢山しました。本当に楽しかったです。特に店主の方のこれまでの人生やお仕事のお話は印象深くて、尾道から帰ったあとも何度か思い出しています。
ふらっと入ってみてよかった、素敵なご縁だったなと思います。
また尾道に行った日には、ぜひ立ち寄りたいです。聞きそびれてしまった、肝心の「なぜ猫の細道に梟だらけの喫茶店を開いたのか」を聞いてみたいです。
それに今度は、満月の晩に開かれるという夜会にも行ってみたいです。
18:30 水祭りと土曜夜店
帰りは商店街の方を通って、水祭りと土曜夜店を楽しみながら船乗り場へと向かいました。
水祭りでは、通り沿いに子どもたちが粘土でつくった仕掛けが並びます。仕掛けからは水が飛び出るようになっていて、きっと尾道の夏の風物詩なのだろうと思いました。
作品はどれも驚くほど完成度が高く、ユーモアたっぷりでした。わたしは竜宮城が好きでしたし、チコちゃんの仕掛けはその発想に笑いました。
土曜夜店は、(恐らく)7月頃、毎週土曜日に開かれるもので、商店街は屋台や催し物で賑わいを見せます。尾道のことを調べたときに夜店はもう終わっていると勘違いしていたので、思いがけず旅行と重なっていて嬉しかったです。
屋台では、串に刺した粉ものに目玉焼きを乗せたもの(とっても美味しかったのですが、どうしても名前が思い出せません。分かる方いたら教えてください。)と、りんご飴を買いました。
21:30 居酒屋 とっくり
渡船の乗り場に向かう途中で降り出した雨に濡れてしまったので、宿に着いてすぐお風呂に向かいました。お風呂から上がったあとは、向島にある居酒屋「とっくり」へ散歩も兼ねて向かいました。
途中、渡船に乗ってお祭りから帰ってきた子どもたちの声が賑やかで、無性に愛おしく感じました。
10分ほどで目的の「とっくり」に到着です。ひとりで居酒屋の扉を開けるのは少し勇気が要りましたが、開けてしまえばお店の方が温かく迎えてくれました。
カウンター席に座り、生ビールと刺身の盛り合わせを頼みました。生ビール、美味しかったです。幸せの味ですね。
刺身の盛り合わせは、お店の方が一旦出そうとしてから、「ホタテも付けてあげよう」と言って炙ったホタテをおまけしてくれました。嬉しかったです。お通しもお刺身も何もかも美味しかったです。
記念に撮ったんだけど、上手く撮れなくて閉まっているみたいになっちゃいました。
酔っ払って気持ちのいいままに宿まで戻って、そのあとゆっくりしてから眠りました。